【初恋体験】少女「何にもないけど入って・・・」男「・・・うん」。貧乏な少女の男に対する精一杯の気持ちとは・・・そして、ある日、少女に対する誹謗中傷を聞いた男がとった衝撃の行動とは・・・・

すっかり昔を思い出してしまいました

 

俺の経験をカキコさせて貰っていいですかね?

 

俺が中3の時ニ学期が始まってスグに

 

一人の女子が転校してきました

 

今思えば、中三の受験も迫ってきたあの時期に転校とは…

 

訳ありだったと想像できるが

 

当時の俺達にはそこまで頭が回りませんでした

 

転校生はY子 美系の薄幸の顔立ちをしていたが

 

負のオーラと言うか、言葉では上手く言えないが

 

クラスの中の体温を一気に下げるようなオーラをまとっていたのを覚えています

 

どう考えても美人で大人っぽい感じで

 

俺達男子が騒ぎ出してもイイような美少女だったんだが

 

なにかただならぬオーラをY子から感じ取ったのは男子みな一緒だったと思います

 

転校生が来た時のお約束

 

休み時間になれば、お節介好きな女子にY子は取り囲まれ質問攻めに

 

俺もなんか、その薄幸の美少女が気になり様子を伺っていたんだが

 

このY子、まったく表情を変えないと言うか

 

なぜかビクついた感じでオドオドした態度

 

そんな感じだから

 

だんだんとY子の回りからは、世話好きの女子達も離れて行き

 

三日も立たず、負のオーラを漂わせてるY子はクラス一人ぼっち状態になり

 

女子特有の陰湿なイジメのようなモノも始まりました

 

一人の女子から始まったY子の境遇の噂話

 

母子家庭で若い病弱な母と二人暮らし

 

Y子の住んでる同じような平屋の一軒家がある長屋みたいな所は

 

俺の地元ではスラムみたいに言われてた所…

 

前に生活してた所から親戚みたいな人が住んでるこの町に逃げてきたみたいな事も耳に入りました

 

教科書も買えなかったのか?

 

当時の先生どももお古の教科書ぐらいとか

 

Y子になんとかしてやれなかったのだろうか…

 

弁当箱も、とても年頃の女の子が持つようなモノでは無く

 

そのぼろい弁当箱を、誰にも誘ってもらず一人で淋しそうに食べるY子を見てると

 

親の躾のお蔭か?偽善か?正義感だけはあったような俺の中坊時代

 

Y子を見てると切なくなり、俺一人でも声をかけてやりたくなりました

 

ニ週間も経つと美少女のはずのY子

 

完全にクラスの中ではバイキン扱いと言うか

 

関わらない方がイイみたいなキャラになってしまってました

 

一ヶ月経っても体操着やジャージも揃わず

 

ぼろい筆箱の中をチラ見すると

 

ちっちゃくなった消しゴムに、あと数回も削る事が出来ないような小さい鉛筆が二本だけ…

 

ノートも全教科、一冊のノートで使ってました

 

今だったら母子家庭とか恵まれない家庭には保護や補助金などが出るはずだが

 

20年以上前はそう言うのなかったっんですかね?

 

そう言えば靴も上履きもそうとうボロボロだったな~

 

サイズが合わないみたいで踵をふんずけてたのを

 

馬鹿な担任は、Y子を注意した事も…

 

そんなある日 バシッと音がクラスに響き、ふと目をやると

 

顔を押さえて疼くまるY子

 

そして男子の怒鳴り声…

 

どうやら、その男子の机に置いてあった

 

当時の中坊は皆買って読んでいた明星を

 

Y子が物欲しげそうに見てたのが気に入らなかったらしい

 

その男子はY子に、盗む気だったんじゃねえか、と難癖を付け

 

揚げ句の果てには、ほらこ〇き女くれてやるよ、とY子の顔面に投げ付けたらしい

 

顔を押さえてシクシクと泣いているY子…

 

本の角がコメカミに当たったようで少し出血も

 

まったく感情を表に出さなかったY子…

 

初めて見たY子の感情表現は泣く事でした

 

なんかそれを見て異常に腹たった

 

中坊の時なんて皆そんなモンだろうが

 

そんなY子を見て、誰も大丈夫などと声を掛ける奴などいないし

 

オマケに泣いているY子を指差しヒソヒソと笑っている女子までいた

 

いたたまれなくなり

 

疼くまってヒックヒック泣いているY子の顔を上げさせ

 

「大丈夫か?どれ見せてみ?」と

 

投げ付けた男子は、俺のまさかの行動に、Y子を罵倒してた声が止まった

 

もう恐いモンなどナニもないと腹くくった俺

 

Y子の肩を両手で包み、俺のまさかの行動にシーンとなった教室を後にして保健室へ

 

保健室の先生にはY子の怪我を説明するのに

 

どっかにぶつけちゃったみたいで…

 

みたいな説明をしたと思う

 

まぁ実際、たいしたことない怪我だったんですが

 

保健の先生が傷を診るのに

 

Y子の押さえていた手をどけると

 

顔の半分が血で赤く染まったように見えた

 

なんかそれを見た瞬間

 

今でもよく覚えているが

 

何故か怒りでキレてしまい

 

Y子を先生に任せて、教室に戻った

 

適当で女好きで、今で言えば高田純次みたいな俺の親父…

 

普段はふざけた親父だが

 

いざとなると男気あふれた感じになり

 

勉強しろ の台詞など言われた記憶などないが

 

女には優しくしろと煩いくらい言われた記憶がある

 

怒りのまま教室に入ると

 

Y子に怪我を合わせた奴と目が合った

 

俺は「おい 後で謝っとけよ」

 

すると「誰が?」とおどけた調子で返してきた

 

次の瞬間、俺はそいつの顔面を何発も殴っていた…

 

保健室から治療を終えクラスに戻ってきたY子

 

入ってきたと同時に俺に視線を合わせて来た

 

思えばちゃんとY子と目と目が合ったのってその時が初めてだったと記憶する

 

Y子が静かに席につくと

 

隣の怪我させた奴が鼻にティッシュを詰め

 

腫れ上がった顔を隠すように…

 

それを見たY子の滅多に変わらない表情が変わったのを今でも覚えてる

 

放課後、資料室に呼び出され

 

担任にこってり絞られました

 

俺は俺でY子の名前を出さず

 

先生は先生で、Y子の怪我と奴の怪我についての関連には知ってか知らずか

 

お互いに腫れ物に触らないような

 

なんとも意味のない反省をさせられました

 

むしゃくしゃしてたので

 

久しぶりにサッカー部の後輩共でも見て帰ろうかなと下駄箱につくと

 

幽霊かと思うほど、ひっそりと立つY子がいました

 

オドオドとしながらも何かを言いたそうなY子

 

「どうした?まだ帰んねえのか?……怪我…大丈夫か?」

 

そんな事を言ったと思う。

 

無言でコクッとだけ頷くY子

 

ちょっぴりはにかんだようにも見えた。

 

表情を全く変えないY子のはにかんだような姿に

 

なんか悪ガキながらも、可愛いと言うか

 

なんともたまらない感情になってしまい思わず

 

「怪我してるし心配だから家まで送ってくよ」

 

当時の中坊には信じられないような台詞を言ってしまった

 

「う…うん大丈夫… 一人で帰れる…」

 

なんかその時、Y子が転校して来て一ヶ月

 

初めてY子の声らしい声を聞いたと思う

 

女子の心ナイ噂で聞いていた

 

Y子の住んでるらしいスラムと言われてる場所は

 

俺の帰宅途中にある…一人で帰れると言っていたY子

 

結局後ろを振り返って見れば

 

離れた位置にY子の姿が…

 

思わず足を止めてY子を待ってしまった

 

噂でY子の家は知っていたが、とぼけるように

 

「なんだ方向一緒じゃんかよ」

 

その時 初めてY子はクスッと笑い笑顔を見せた

 

初めて見せてくれたY子の笑顔

 

何を喋ったが所々しか覚えてないが

 

ほとんど一方通行な俺の会話を、教室では見せた事のナイ笑顔で聞いてくれてた記憶が

 

クラスの中ではバイキン扱いのY子だったが

 

近くで見ても誰が見ても

 

はっきり言って美少女でした。

 

伸ばしっぱなしの髪はオシャレのカケラもなかったが

 

今で言えば…あんなゴスロリメイクしてたわけではナイが

 

中島美嘉みたいな感じの美少女でした

 

差別意識などあった訳ではナイが

 

Y子の住んでるスラムと言われてた場所は

 

20年以上前と言えど

 

そこだけ時計が止まったような地域でした

 

「親に怪我の事、上手く説明しとこうか?」

 

「大丈夫です…いろいろありがとう…」

 

同級生に敬語を使うY子

 

小走りに家に入っていきました

 

次の日の教室

 

当時の中坊の生活の中では、男子が女子を助けるなんて事、あまりなかった行為だったと思う

 

今まで人気モンだった俺を、みんなが冷ややかな視線を投げ付けてくる

 

俺の事を見てヒソヒソ言ってる奴らもいる…

 

どうって事ネェよと開き直る俺

 

目と目が合ったY子の所に近付き

 

「ヨォ 怪我は大丈夫か?」と

 

しかしながら昨日、俺に見せてくれた笑顔とは違い冴えない表情

 

どうやら後で知ったが俺が来るまで被害者のはずのY子

 

何が面白くないのか一部の生徒達からつるしあげみたいな目にあってたらしい

 

オマケにY子の家庭環境などの事などをY子に直接叩き付けたらしい

 

中坊くらいの時期って今考えてみると残酷極まりない人種でしたね

 

俺も、Y子のようにイジメられるキャラではなかったが

 

その日から一部の仲間を除いてみんな冷ややかな目で俺を見るようになった

 

そんなモンどうって事なかったし……

 

しかしながらその日から、やたらとY子と目が合うようになったと記憶する

 

Y子に完全に惹かれてしまった俺…

 

しかし何も行動に移せない

 

文化祭の日でした。

 

クラス各々の出し物や出店みたいなのを一通り回った後

 

何も展示などには使ってない図書室にY子の姿が

 

賑やかな他の教室に比べて

 

文化祭の華やかさから取り残されたような静かな図書室で

 

ポツンと本を読んでいたY子

 

思わず「ヨォッ」と声を掛けて

 

照れ隠しに「あ~疲れた」とY子の対面の椅子に腰かけた

 

Y子と一緒に帰った時見た笑顔以来

 

相変わらず教室の中では寂しそうな表情ばかりでしたが

 

その時は読んでいた小説を閉じ

 

恥ずかしそうな笑顔を俺に見せてくれました

 

図書室の外から聞こえる賑やかな音とは別世界の静かな図書室で

 

Y子とたわいもない話をしました…

 

一緒に帰った時よりも話が俺の一方通行にならず

 

Y子は小さい声で、俺の部活はなんだったのか?とか東京の事などを聞いてくるなど

 

少しづつ打ち解けて会話も成り立つようになってきました

 

同級生なのに敬語を取り入るようなY子の話し方は少しこそばゆい感じがしました

 

それをきっかけに、帰りの方向も一緒なので

 

偶然をよそよったりしながら一緒に帰ったり……

 

自販でジュースを二本買い

 

多摩川の土手で飲みながら、いろいろな話をしたりした事も

 

たかがジュース一本の俺のオゴリに、何回も何回もアリガトウを繰り返すY子が切なかった……

 

気を許そうとしなく、余計な事は言わないようなY子でしたが

 

だんだんと俺に対して気を許してくれて転校のイキサツなども……

 

ガキながらもY子が今まで不幸の連続みたいな生い立ちなんだろうな~ぐらいの事は感じていたが

 

三重から転校して来たY子…

 

小学一年の時、父は女を作って出て行ってしまったと

 

しばらくしてお母さんは再婚したんだが、その新しい親父は

 

仕事らしい仕事もせず、飲んでは毎日暴力振るうような親父

 

まぁ絵に書いたような悲惨な家庭…

 

それだけならまだしもY子が中学ぐらいになると

 

面白くないと殴る蹴るに加えて性的悪戯みたいな事もされてたらしい

 

さすがにY子はその返の所はストレートに言わなかったが

 

さすがに第三者みたいな人が中に入って離婚は成立したらしいが

 

なかなか離婚してもY子の家にの出入りを辞めず

 

相変わらず暴力や金をせびりに現れたらしい。

 

結局どこか遠くに逃げようとなり

 

Y子の母の叔父を頼って

 

持つ物も持たずこの街に逃げてきたらしい

 

クラスの馬鹿女が、どっかから仕入れてきた噂もあながち嘘ではなかった

 

その叔父さんと言うのも頼られて来たのを迷惑に思ってるみたいで

 

最低限にはY子達母子が生活できるようにはしてくれたらしい

 

悲しい現実を秋ですぐ暗くなってしまう夕暮れの多摩川で語ってくれたY子

 

あまりに悲しい話で場が暗くなってしまったので

 

俺も母親は早く亡くし

 

どうしようもない明るいだけが取り柄の適当馬鹿親父との二人暮しや

 

その家の親父がどんなにバカなのか?みたいな話でY子を盛り上げ、なんとか笑顔にしようと

 

家のバカ親父をダシに使い笑わせた記憶がある……

 

小中とサッカー漬けの生活で

 

部活も終わってしまい抜け殻になりかけてた俺だが

 

たまにY子と一緒に帰る一時が最高に楽しかった

 

師走の月になる頃……

 

クラスのイジメの対象に優しい態度を取る奴は……

 

テレビや聞いた話では、そいつもイジメの対象になる………

 

しかしサッカーでそこそこ有名人で人望もあったらしい俺

 

おまけに喧嘩っ早くて悪ガキでもあった俺にケチを付ける男子はいませんでした

 

その頃の休み時間にはY子と俺の他に、同じサッカー部だった仲間が

 

Y子の席を取り囲み

 

ほとんど恥ずかしそうに笑って聞いているだけのY子に笑わそうとバカな事したり

 

孤立しかけてる俺と完全孤立のY子に気を使って盛り上げてくれました

 

しかしそれを面白くないと思う女子連中は

 

俺達の目の届かない所でY子に対するイジメはエスカレートしていきました

 

毎日一緒に帰るまではしなかったが

 

高校に入ってもサッカーを続けるつもりの俺は

 

たまに後輩指導を名目に放課後

 

部活に参加し汗を流したりしてると

 

もの凄い遠くで遠慮がちに俺の練習を見てるY子が

 

俺の練習が終わるのを待っててくれてるような事もあった

 

さすがに12月にもなると、多摩川のお喋りは寒く

 

当時の女子連中は冬になると

 

セーラーの下に学校指定のジャージの上を着込んで

 

オマケにその上には女子に限ってナイロンのハーフコートを這おうのが冬のスタイルでしたが

 

Y子に限ってはジャージもハーフコートも持っておらず

 

よく俺のサッカー部のジャージを制服の上からY子に掛けてやり

 

相変わらず寒くなった多摩川でお喋りをしました

 

いつもサイズの合わないボロボロの靴を履いていたY子

 

もうすぐクリスマス……

 

俺はクリスマスプレゼントにY子に飛び切りの靴を買ってやろうとひそかに決めた。

 

ちょうど親父の現場が、その時 家からほど近い現場だった事もあり

 

学校が終わると直ぐさま親父の現場に直行し

 

時間も時間でたいした事は出来なかったが

 

片付けや材料運びを一生懸命頑張った

 

暮れに向けて親父も日曜日などとは言ってられないようで…

 

俺には学校も休みだし、都合が良く喜んで一日汗を流した

 

学校が終わると真っ先に帰る俺に対して

 

一緒に帰ろうと声を掛けてもらえないY子は

 

不安そうに、小さい声で俺に対して遠慮がちに、最近……みたいな事を聞いてきた

 

俺は ちょっと欲しいものが出来てしまいバイトしている事をY子に告げた

 

もちろん、Y子のクリスマスプレゼントを買うためなんて事は内緒で

 

「あっ… そうなんだ…」

 

淋しそうに下を向いてしまったY子に本当の事が言えず、たまらなかった

 

「冬休みが始まったら、ちょっと時間作ってくれよ おまえん家行くからさ」

 

Y子は自分が最近避けられてるみたいで不安だったのか

 

少し安心したように微笑んだ

 

バイトしてる時、親父の若い衆達に

 

彼女のプレゼントの相談みたいな事をしゃべってたら

 

親父に聞こえてしまい、案の定

 

「お~っ ・・・君 キミもスミにおけないね~ 彼女なんかいたのか? その娘人間か? ハハハハッ」

 

そんな親父だが、学校が終わってから三時間程度しか仕事してない俺に

 

おまけに十日足らずしか働らいてない俺に24日の午後に

 

今日は仕事はいいから早くプレゼント買いにいけと3万もの大金をくれた

 

俺はこんなにいらないと言っても親父は笑いながら逃げて行った

 

勢いだけでいざデパートの靴売場に着いたはいいが

 

靴のサイズの事が……

 

わかっていた事だが、商品を目の前にしてしまうと

 

23か23.5と目星を付けてきたんだが不安に…

 

22のサイズの靴の踵を潰して履いていたY子の足

 

体育の時などは、痛いけど思いっきり押し込めば、なんとか入ると言っていた

 

買ってあげたはいいが、いざ履いてみて入らないとかキツすぎた

 

なんて事になかろうか?と、ますます不安になり

 

靴はやめて、その前にY子に似合うかな?とチョット気になった

 

黒のハーフコートにしようかな?と悩んだ記憶が

 

当時の事を思いだすと笑ってしまうんだが

 

サッカー部のマネージャーだったJ子の家に電話して

 

たまたま家にいてくれて

 

中3の女子って靴のサイズ、どのくらいなの?みたいなバカな質問しました

 

そんなの人それぞれでワカンないよ~みたいな事を言われたが

 

すぐにピンと来たみたいで

 

「あ~ もしかして ××さんのプレゼントかなんか~?」

 

バレバレだった……

 

「人によって違うけど、××さん 私と同じような体型だから 23とか…大きくても24とかはナイと思うよ」

 

結局 間を取って23.5のアディダスの白にオレンジのラインが入ったシューズにした

 

黒のハーフコートも気になってたし

 

どうせだからと衝動で買ってしまった

 

今のように安売りのショップなどなかった当時

 

結構な値段になってしまった記憶が…

 

その足でY子の家へ急いで向かった

 

軽く叩いただけで壊れてしまうような古い玄関の引き戸を鳴らしてみても

 

中から返事もないし、鍵も閉まっている…

 

Y子に一時も早くプレゼントを渡したい俺は出直す事はせず

 

Y子の帰りをその場で待った

 

30分も待った所で、小箱を持ったY子が現れた

 

「オゥ 待ってたよ 何だ買い物?」

 

「…うん クリスマスだし…一緒にケーキ食べようと思って… ××君の家に行ったんだけど誰もいなくて…」

 

そんな事を言ったと思う…

 

「なんだ~ そうだったの?」

 

「うん…でもお金…私…ちょっとしかナイから…ちっちゃいのしか買えなかったけど…」

 

もじもじしながら消え入りそうな声で恥ずかしそうに…

 

「よかったら…汚いし…何にもないけど入って…」

 

小皿にイチゴのショートケーキ二つを取り出してくれたY子

 

こずかいもロクに貰ってない、Y子の精一杯の俺に対する気持ちだったんだろう…切なかった

 

最後までナイショにしようと思ってアディダスのスポーツバッグに隠していたプレゼントを取り出し

 

照れもあってぶっきらぼうにY子に渡した

 

「これ サイズが合うかわかんないけど… クリスマスプレゼント…」

 

口を手で押さえ動きが止まったY子

 

「開けてみろよ 合わなかったら取り替えて来るから」

 

無言で靴とコートを見つめる…

 

「…えっ…これ私に?」 そんな会話をしたと思う

 

心配していた靴は、ちょっと緩めだったがY子はピッタリと言ってくれた

 

するとY子…シクシク泣き出してしまった

 

物を貰って泣くなんて声は俺にしてみればありえない事だったのでビックリしてしまった

 

なんだ?どうしたんだよ?とY子の肩を摩るようにした俺の手をY子は掴んできた

 

「…ありがとう…ほんと…ありがとう…うれしい…」

 

悲しくて切ない15のクリスマスでした……

 

Y子の何にもナイ家で、ケーキを食べながらいろいろ話をした

 

家具も何もナイ部屋だった……

 

13インチぐらいの小さなテレビと

 

とても小さかったがストーブがあったのが救いだった

 

帰宅して親父と夕食を食べてると

 

家の事務所の方から「ごめんくださ~い」と女性の声が

 

親父は、ハイハイ~と、あまり家には似つかわしくない突然の女性の来訪者の元へ

 

女性の声はほとんど聞き取れないが、声のデカイ親父のかしこまったハイ・ハイという返事が聞こえる。

 

近所の親父の飲み友達とか、親父の仕事関係しか現れない家に

 

突然の女性の来訪者と親父が何を話しているのか、少し気になった

 

モゴモゴとしか聞こえなかった会話が突然

 

「ワ~ッハッハッハ~」と親父のバカ笑いが聞こえてきたので、変な客ではナイとホッとした

 

「お~い お姫さまが来てくれたぞ~」何事?と事務所にドタドタ向かうと

 

そこにはY子と、化粧っけはナイが綺麗な、Y子のお母さんにしては若すぎるような女性が笑顔で立っていた

 

娘が××君にクリスマスプレゼントで高価なモノを貰ったとかで申し訳ありませんみたいな事を言って挨拶された

 

Y子のお母さんは病弱とかの噂があったけど、そうは見えなかった

 

家のバカ親父が、Y子のお母さんが若くて美人だったためか、またバカな事を言って笑わせてた

 

帰り際に「家いろいろあってたいしたお返しもできませんが」みたいな事を言って

 

Y子のお母さんが勤めてるパン工場で作ってるパンをいただいた

 

帰る時に、家の親父が「×× お前 家まで送ってけ」と

 

いや 大丈夫です~ お構いなくと言うY子のお母さんを尻目に

 

「いいから ××~ 送ってけ 夜道を女性だけで歩かすな 行け~ 行くんだ~ジョ~」

 

とバカ親父……

 

帰り道でY子のお母さんに

 

「この子って 大人し過ぎて 今まで友達もほとんど出来た事もナイの…… だから××君みたいな素敵なボーイフレンドがいたなんてビックリしちゃった」

 

Y子とお母さんを送った後…振り返ると

 

二人は見えなくなるまで俺を寒空の中、見送ってくれた…

 

次の日、家に現れたY子…

 

昨日の俺のプレゼントのハーフコートと靴を身に付けて

 

「お~っ カッコイイじゃん」

 

もっと気の利いた誉め方とかなかったんだろうか?

 

照れもあって そんな言い方をしたと思う

 

どうしよもなく恥ずかしいみたいな笑顔を見せ、うれしそうなY子…

 

家に上がってもらい、紅茶を入れてやり、当時よく聞いていたFM東京を聞き流しながら

 

Y子とたわいもない会話をした

 

その内、ラジオから聞こえてきた 岡田有紀子が歌う゛恋、はじめまして゛が流れた……

 

少し微笑みながら、小さく首を上下に動かしながらリズムを取るY子……

 

「何?お前 岡田有紀子 好きなの?」

 

すると 普段は一言一言詰まるような喋り方をするY子が

 

その時だけは、はっきりと満面の笑顔で「うん 大好きなの!」と

 

後々 あんな事になってしまう岡田有紀子だが……

 

Y子のような弱い少女を引き付ける何かがあったんだろうか?

 

正月にでも 二人でどっか行かないか?の俺の提案

 

どこか行きたい所はあるか?の俺のリクエストに

 

どうやら原宿に行ってみたいらしいY子

 

今も当時も、その位の少女の聖地みたいな場所 原宿に……

 

遊園地も生まれて一度も行った事ないようなので、そこにも行こうか?と

 

その日から3~4日… 毎日俺はY子の家を尋ねたが、いつも不在でした

 

何かあったのか?と心配ならない俺は

 

その不安な気持ちを打ち消すように

 

暮れも迫ってせわしない親父の現場を手伝った……

 

たしか30日……その日も、親父の仕事納めの片付けを終えた俺は

 

Y子の家を尋ねた…Y子は居た……

 

洗濯機など無く、桶の中で衣類を洗うY子 寒空の中……

 

「だめだめ そんな洗い方じゃ 洗濯のプロの俺様の洗い方を見せてやる」

 

わざとおどけたように…かわいそうで見てられなかったので、Y子をどけて

 

Y子を笑わせるように、冗談を言いながら洗った

 

中で掃除してたお母さんも俺の来訪に気付いたみたいで

 

俺に優しい笑顔を見せてくれた

 

洗濯を終えた後、家にお邪魔した

 

お母さんは話してくれた…ここ三日~四日 Y子を尋ねても不在だったのは

 

Y子 どうしてもと言うことで自分もバイトしたいと

 

どうやら 俺との正月の約束のため、その出掛ける時の費用をなんとかしたかったらしい

 

俺にして見れば 出掛ける時の費用なんて、はなっから俺が全部出そうと思ってたんだが…

 

お母さんは聞いてみるだけ聞いてみてあげると

 

お母さんの勤めるパン工場の社長さんだかに

 

娘がどうしてもバイトしたいので

 

なんとか…と頼んだらしい

 

すると社長さん 美人の頼みに弱かったのか?(笑)

 

そんな事はなかろう(笑) たぶんY子の家の事情を知ってて優しい社長さんだったんだろう

 

今では考えられないが中学生のY子を心良く働かせてくれたらしい

 

恥ずかしそうに、笑顔で下を向いてしまってるY子

 

俺はなんだかホッとし たまらない気持ちになった……

 

大晦日…… レコ大かなんか見ながら親父と夕食

 

親父が 「なぁ Y子ちゃんって 本当美人だよな」

 

「うん ちょっと大人し過ぎるけどな…」

 

「バカだな~ ガキだな~あの哀愁を漂わせてる所がグッと来るんじゃねえか」

 

クラスの中では Y子を評して ”気持ち悪い” ”不気味”根暗”貧乏”……

 

そんな言葉ばかり投げ付けられてたY子…

 

思えば Y子の事を初めて誉めてくれた人がウチの親父だった

 

9割り方、ふざけた事ばっかり言ってる親父だったが

 

その時は真面目な顔付きで

 

「Y子ちゃん…お前のそばに居る限り 何があっても守ってやれよ」

 

………初めはY子に対しての優しさは、哀れみみたいなモノから初まったかもしれない……

 

岡田有紀子のフレーズ……”恋したら 誰だって綺麗になりたい”…

 

そんなだったかもしれないY子…

 

少しづつ 綺麗になっていくY子に対して はっきりと自覚した

 

15の淡い大晦日でした…

 

Y子との初デート

 

Y子の家に行き、お母さんの笑顔に見送られ駅に向かった

 

もちろん黒のハーフコートにアディダスの靴を履いてくれて……

 

原宿に着くと 憧れだったようで、とてもうれしそうな表情を見せてくれた

 

竹下通りから明治通りに出て、表参道からまた竹下通りに……

 

何度も回った記憶がある

 

目を輝かし、いろいろな店で何を買うか悩むY子

 

あまり見せた事のない表情で……とても可愛いかった

 

結局 ノートと鉛筆、筆箱を買って とてもうれしそうだった

 

買い物なんて初めてではなかったんであろうか?

 

原宿での買い物を終え、遊園地へと向かう…

 

中央線に乗るのに新宿には行かず、そのまま千駄ヶ谷まで歩いた

 

意外に距離があり時間がかかった記憶があるが

 

外苑前を、いろいろな話しをしながら……

 

その時 初めて二人…手を繋いで歩いた……

 

小さくて指には絆創膏が貼ってあり

 

あか切れを起こしていた冷たい手だった……

 

電車に乗ったはいいが、水道橋で

 

降り忘れたのか?止まらなかったのかは定かではないが

 

通り過ぎて東京駅まで行ってしまった!

 

慌てる俺を見て、Y子は不安には成らず、むしろクスクスと笑ってくれた

 

私が払うと言ってくれた、後楽園の入場券を、俺は、いいからいいからと制し

 

Y子には初めての遊園地の門をくぐった

 

思えば 朝から晩まで笑顔だった日は、あの日が初めてだった…

 

乗り物を片っ端から乗りつくし、とても楽しそうな笑顔で、話しをしながらアメリカンドックを食べたり…

 

まあ ありきたりの話になってしまうんだが(笑)

 

観覧車の中で、暗くなってきた街を見てるうちに……

 

初めてのキスでした……

 

 

 

帰りの電車…

 

行きの時のガヤガヤした電車の中の混雑とは違い

 

静かでガランとした帰りの電車の中……

 

初キスをした二人は少しセンチメンタルな気分になってたかもしれない

 

俺の袖口をそっと掴むY子の手……

 

遠慮がちだが、そういうリアクションをめったに起こさない

 

Y子にしては大胆な行動に、俺はドキドキしてた

 

Y子の家の前まで着くと、買い物した時の袋からそっと小さい紙に包まれた物を渡された

 

「これ 遊園地で…買ったんだけど… ペアになるかな?と思って…」

 

トリコロールの服をまとったピエロのキーホルダーだった

 

Y子も同じ包みを開けて、イタリアンカラーの同じキーホルダーを笑顔で見せてきた

 

「今日…すっごく楽しかった… ××君…また会ってくれます?…」

 

二度目のキスと行きたい所だったが……

 

行動には移せなかった……正月の初デート…

 

残り少なくなった冬休みをY子と毎日一緒に過ごした

 

今と違い その頃の冬休みは七日まで休みだったのを覚えています

 

Y子の家は電話が、なかったため、Y子か俺のどっちかが突然現れるみたいな感じでした

 

確か冬休み最後の日… サッカー部の仲間の兄貴が帝京サッカー部で

 

準決勝まで残った帝京の応援に国立にみんなで応援にと誘われたが

 

みんなには悪いが、俺に会に来るY子の顔が浮かび、都合がどうしても…と断ってしまった

 

その代わりと言ってはなんだが、正月休みに飽きて

 

毎日 近所の誰かしらの友人の家に集まり飲みに出掛ける親父のいない家で

 

二人でテレビの前で応援した

 

20年以上前どころか、数年前の高校の選手権なども覚えてないが

 

その選手権はテレビの前で二人で応援したせいもあり覚えています…

 

後にフリューゲルスで活躍する前田率いる帝京がオーバーヘッドのゴールで決勝に進み

 

後のゴン中山率いる、藤枝東は島原商にPKで涙を呑んだ……

 

家に風呂が無く、銭湯を使うY子に付き合い

 

夜…二人で銭湯に行ったりした事も…

 

寒空で、せっかく暖まった体が冷えてしまうのに…

 

少しでも長く一緒に居たかった幼い二人は

 

夜の多摩川沿いを体を寄せ合って散歩した……

 

かぐや姫の神田川ではないが

 

当時の二人には、いつも目の前に多摩川が流れていた……

 

中学生活最後の三学期……

 

冬休みのY子と教室のY子は、なんだか別人に見えてしまい 少し照れてしまった

 

相変わらずもクラスの中に溶け込む事が出来ず、二学期とは違い、一部の生徒だけであったが……

 

Y子に対して、心が傷つくような台詞や噂を投げ付けていた

 

ある日… 俺の小学生の少年団からのサッカー部の仲間で、親友とも呼べるMと

 

名前を思いだすと今でも腹立つので、奴と書かせてもらうが……

 

Mと奴が、何やらエキサイトして口論のようなものをしていた…

 

俺を含めて数人で二人をマァマァと止めた覚えがある

 

Mに対して話を聞くと、どうやら奴は、Y子に対して貧乏ならば売春のようなものをすれば……

 

あいつの母親は男に色目を使うような母親なんだから……

 

Y子に対して優しい態度を取ってくれる、数人しかいない俺の仲間だったM…

 

Mを宥めていたはずの俺は気が付くと奴の元に走り、いきなり蹴りを喰らわせた

 

凄い勢いで奴を殴ったと思う… 今度はMを含めた数人が俺の腕を掴み必死で止めてた記憶が

 

Y子に聞こえるように、わざと大きい声で言っていたらしい

 

Y子は立ち上がり、俺を制するように

 

「もうイイっ もうイイからっ 大丈夫だからっ…」

 

声を張り上げて必死に俺を止めるY子……

 

全く見た事のなかったY子の表情と行動にア然とした俺は動きが止まった

 

なんにせよ 今この歳になって考えてみると

 

暴力を奮ってしまった俺は、たしかに悪かった……

 

しかし…ノートをY子にぶつけた奴を含めて

 

二人ものクラスメイトに暴力を奮ってしまった俺の幼稚な行動……

 

Y子を虐めると俺が暴れるみたいになってしまった当時のクラスは

 

それをきっかけだったかもしれないが

 

Y子に対しての口に出してのイジメはそこで止まったと思う

 

資料室で担任に長い説教をされた俺

 

国語の授業が始まってしまってる教室に、説教を終えた俺は怒りの治まらない俺は

 

席に着く前にY子に心ない台詞を吐いた奴の机に蹴りを入れて威嚇した

 

それを見た国語の先生でもあり サッカー部の相談事によくのってくれたS先生は何も言わなかった

 

後で先生は話してくれたが

 

「オマエは どんな理由があったか知らんが、意味もなく訳もなく暴力を奮う奴じゃないのは俺が1番良く知ってる…」と

 

Y子をイジメる回りの奴はみんな敵……みたいな事を思っていた当時の幼稚な俺…

 

イイ人にも恵まれたと思う…

 

たしか二月になったかならないの時期でした

 

形だけのテストを受けるだけで

 

すでに私立の高校に決まっていた俺と

 

とりあえず卒業したら

 

お母さんと同じ職場で働かせてくれる事が決まっていたY子

 

受験で必死になってるクラスのほとんどのみんなの焦りとは無関係な俺達は

 

確か土曜日だったと思うが

 

その日も俺の家でラジオを流しながら

 

二人で、いろんな会話をしてた……

 

するとラジオから岡田有紀子の新曲であった

 

~二人だけのセレモニー~が流れてきた…

 

微笑んで聞いていたY子の姿だけは今でもよく覚えている……

 

”戸惑いは卒業よ 溢れる程にあなたが好き”……

 

その日、Y子と二度目のキスをした…

 

”そして甘い セレモニー”

 

幼いながらも思えば幸せな時期でした

 

段々と卒業が近付いてくる毎日……

 

その頃になると、クラスの女子の中で、いつも一人ぼっちだったY子にも、2人の友達が出来ていた

 

どこのクラスにもいたと思うが

 

クラスの中では大人しい目立つ存在ではないような二人…

 

クラスに中々溶け込めず

 

いつも置き去りにされていたY子に手を差し延べてくれた優しい二人でした…

 

ラジカセなどもちろん持っていないY子に

 

新しいのを買って使う事が無くなったから使って、と譲ってあげたり

 

Y子の大好きだった岡田有紀子のアルバムをダビングしてあげたり……

 

悪ガキだった俺が、Y子の席に集まり三人で楽しそうに会話してる中に入って行くと

 

始めの頃は、俺の事が怖かったみたいで

 

笑顔で応えてくれるY子をよそに

 

その二人は、いきなり無言になってしまったり

 

しかしY子を通じて、その二人とも、すぐに仲良くなった

 

ある日 東京では珍しく雪が少し積もった事があった時など

 

Y子を含めた、その三人対俺で、楽しく雪のぶつけ合いをした事もありました

 

後は卒業を向かえるだけのようになっていた時期……

 

浮かない顔したY子から話したい事があると……

 

その頃ではほとんど見る事の失くなっていた久しぶりの悲しそうな表情で…

 

少しづつだが家の中の物が増えて来たY子の家……

 

正座したまま、抜け殻の表情のY子…

 

俺はせかすような事はせず

 

Y子が口を開くのをジッと待った…

 

もう見る事の無くなった、Y子の表情を見る限り

 

ガキだった俺でも、最悪な展開になるようなものを感じ取っていた……

 

「……ごめんなさい…三重に……帰る事になったの」

 

「昨日 お母さんに…突然言われて…夜中まで…話したんだけど…」

 

もっとも聞きたくなかった台詞だった

 

俺はY子には何も言わず、黙ってお母さんの帰りを、ただただ待った

 

Y子も一言も言葉を発っせず…下を向いたきり黙っていた…

 

まだガキだった俺に、Y子のお母さんは包み隠さず話してくれた…

 

元はこの街に引越して来たわけではなく

 

暴力を繰り返すY子の血の繋がらない父親から逃げて来たような二人

 

Y子のお母さんの姉、つまりY子の叔母さんの知らせによると

 

そのアル中だったらしい父親は、死んでしまったらしい……

 

この街で唯一の頼りのはずの、Y子のお母さんの伯父さんには、住む所など最低限には生活出来るようにしてもらうにはして貰ったが

 

後は絶対に頼ってくるな!家の敷居を跨ぐなと言われたらしい

 

今の俺が考えてみれば、三重でずっと育ったと言うY子のお母さんが、何も知らない不安な街に逃げて来て

 

娘を抱えて、何もない状態からコノ先…と思えば、Y子母子の怯える存在だった元父がいなくなった

 

辛い事ばかりだったろうが、住み慣れた故郷に帰るのは当然だったろう

 

まして知らせてくれる兄弟のようなモノがいる故郷に帰るのは…

 

Y子のお母さんは泣きながら……

 

この街の人達は私達母子に優しくしてくれたし……

 

Y子は笑顔を見せてくれるようになったし…

 

何より ××君の事を考えると…それが一番つらい……

 

でも…おばさん…もう……

 

卒業が間近に迫った悲しい夜でした……

 

Y子はともかく……ガキの俺の前で泣きじゃくるY子のお母さん……

 

俺は精一杯の強がりを二人に見せた

 

「なに おばさん三重なんてスグそこじゃないですか 夏休みとか新幹線でピューッと会いに行きますよピューッと」

 

当時 「”Y子”」とほとんど呼んだ事なく

 

お前とか呼んでいた俺だが

 

その時は

 

「Y子 泣くな! いつでも会えるよ 死んだ訳じゃないんたから だから泣くな」

 

二人は泣き顔で少し笑ってくれた……

 

出来たての卒業アルバムをY子の友達や俺の仲間と、ワイワイガヤガヤ見た

 

「Y子ちゃん 凄~く綺麗に写ってる~」

 

Y子の友達が言う

 

「バカ Y子は元がイイからだよ お前はそれなりだな」

 

俺の仲間が言った一言に

 

「ひっど~い」

 

と仲間の肩を叩く様子に

 

みんなで大笑いした

 

Y子と俺だけに別れが待っているわけではナイ……

 

東京の中学生だった当時の俺達は、卒業を終えれば

 

ほとんどの友達などとの別れが待っていた

 

卒業式を終え教室に戻ると

 

朝の卒業式当日とは思えなかった雰囲気の

 

賑やかな教室とは違い

 

あちこち、特にほとんどの女子達は泣いていた

 

いつも当たり前のようにくぐっていた校門を出る時には

 

最後なんだな……と寂しい気持ちになった

 

卒業式を終えた二人は、少し暖かくなって来た

 

多摩川の土手で、いろいろと思い出を懐かしむようにY子と二人で語り合った

 

最後になる制服姿で……

 

式を終えて着替えを終えた後、俺の家に現れた……

 

何度もキスを繰り返した……

 

家の中のラジオからは、Y子毎日一緒に帰るようになった頃、よく流れていた

 

安全地帯の”恋の予感”が久しぶりに流れていた

 

切ない目で、俺の体に手を回して見つめてくるY子の表情を見て

 

我慢ならなくなっていた……

 

別れが迫った二人の甘く切ない初体験でした……

 

裸のまま二人で抱き合いながら俺は

 

「最後にもう一度だけ どっかいかないか?」

 

俺の体をグッと抱きしめながら小さい声で

 

「…もう一度、あの遊園地に行きたい…」

 

今では 思春期まっただ中のウチの子供達捕まえて

 

「俺の童貞は卒業と共に捨てた」と

 

俺の親父みたいなふざけたギャグを言ってる俺の

 

甘い悲しい初体験でした……

 

Y子との最後のデート……

 

ちょっと早く着きすぎたせいで、しばらく東京駅の中を二人で歩いて時間を潰した…

 

”銀の鈴”が目に入ったY子は

 

「アレって…何かな?…」

 

と何気なく聞いてきた

 

「あ~ あれは たしか東京駅の中での待ち合わせスポットみたいな所だよ、あの大きな鈴が目印みたいな」

 

二、三回 小さく頷き”銀の鈴を見つめるY子……

 

水道橋に向かうため、中央線のホームの場所に立つと

 

「わたし達…たしか…おしゃべりに夢中で、気が付いたら…ココまで来ちゃってたんだよね…」

 

ちょっと前の事の出来事だったが、なぜか懐かしい気がした……

 

「コノ乗り物、乗った時…××君 目がまわっちゃったんだよね…」

 

「コレに乗った時なんて、××君… すっごい怖がってた」

 

正月のデートの時を一つ一つ回想するようなY子は、とびっきりの笑顔を見せてくれた…

 

ベンチでソフトクリームを二人で食べた…食べ方が遅いY子のソフトクリームは

 

どんどん溶けてきてコーンに流れてしまってきた…慌てるY子の、顔に似合わないドジな姿は、とても可愛いかった…

 

初めてキスをした観覧車… Y子が言う「よかった…××君と出会えて…」

 

笑顔ながらも少し寂しそうな表情で見つめてくるY子に……

 

初めてその時 涙が出そうになった……

 

Y子の家の、引越しのために荷造りを終えた荷物は

 

全部集めても、たいした荷物の量にはならなかった……

 

とりあえず 荷物は、Y子のお母さんの姉さん夫婦が、向こうで預かってくれると言うので

 

ウチの親父の知り合いだった業者の人にたのんだ…

 

今思えば軽トラ一台でも事足りるような、Y子の家の荷物

 

親父の知り合いの、その業者の人は、心よく引き受けてくれて

 

格安の料金で受け持ってくれました

 

その日の夜……

 

サッカー部の仲間達や、電話の無いY子の家のために俺にかけてきたY子の二人の友達……

 

別れの時に見送りたいから…と

 

始めは…たった一人ぼっちだったY子

 

別れの迫ったY子の回りには気が付くと、やさしい人達が大勢いました……

 

心優しいY子には、自然と優しい人達が集まっていました

 

新幹線に乗るためにY子達母子を駅で見送るため

 

日曜日だった三月末……

 

親父の車に乗った、Y子母子と俺の四人は、東京駅に向かった……

 

別れは笑顔で…そう何度もY子に言い聞かせていたが

 

車の中のY子は、とても切なく寂しい表情を浮かべてました……

 

東京駅に着いてしまった……

 

俺達の住んでる街からは東京と言え共

 

新幹線に乗ろうと思えば

 

距離的には、東京駅まで戻るようにして乗るより新横浜に行く方が近かった……

 

Y子は俺との楽しい思い出の片隅に残っている東京駅から……

 

切ないわがままでした……

 

”銀の鈴で、仲間やY子の友達の到着をしばらく待った……

 

「ワタシ…絶対…忘れない… 好き…」………

 

その言葉を残し去って行ったY子……

 

…三年後… 高校を卒業し…自宅で納車されたばかりの愛車を洗車する俺……

 

三年前…悲しい別れをしたY子… 一年にニ~三度、手紙が来た…

 

夏休みなんかに新幹線で行くと、Y子に告げた俺だが… 結局は手紙の返事を書くだけに留めた

 

幼い恋など、そんなモンだったのかもしれなかった……

 

高校でのサッカー部の練習は、小中とサッカーで鳴らした俺でも根を上げてしまうほどで

 

そのきつかったサッカー漬けの生活が、俺からY子の存在を忘れさせてくれた……

 

頭金をバイトで金を貯め…卒業間もない三月半ばに納車されたばかりの…

 

当時、鉄仮面と呼ばれてたスカイラインで

 

東京駅に向かい車を走らせる俺……

 

駅の近くのパーキングに車を止め……

 

”銀の鈴”を目指して走った……

 

………そこには三年ぶりに笑顔を見せて俺を待ってたY子がいた……

 

…END…

 

 

引用元:http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1149044215/


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